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織物の神様と出会う旅

“ものづくり”を知らない私が、NADELLに入って1年半。分からないことの連続で戸惑い、壁にぶつかりながらも見えてきたNADELLが考える”ものづくり”の世界。

職人の町として知られる京都に身をおき、デザイナーと共にものづくりの現場を訪れる日々。お洋服作り一筋20年のデザイナーから聞かされる「モノ、コトにもそれぞれの想いがある」という言葉。職人さんや縫製工場のみなさんに出会うことで、その意味を少しずつ理解できてきたような気がしています。

オーガニックコットンを栽培する農家さん。糸を紡績する職人さん。縫製工場の縫い子さん。商品を検品するスタッフ。お客様にお洋服をお届けする販売スタッフ。関わる全ての人の想いがNADELLのお洋服には宿っています。そんなものづくりへの想いをヒトやモノとの出会いを通し綴る連載「ものづくり探訪」をお届けすることになりました。

第1回目は、織物。

車窓から見えてきたのは滋賀県ののどかな田園風景。工場に着くなり、“かしゃんかしゃん”というリズミカルな音がしてきます。中に入ると、猛スピードで電車が走り抜けるような織り機の音に圧倒され鳥肌が……織り機の音を聞くのは、これが初めてでした。デザイナーの北村が「昔は町中でこんな音が聞こえていたのに……」と。

ずっとみていても飽きないほど複雑な機械が音をたてて動いています

電気仕掛けの織り機が主流の今、からくり人形のような昔ながらの機械仕掛けのシャトル機が現役で動く工場は少ないそう。量産向けの織り機とは違い、1日15mほどしか織ることができないという昔ながらの織り機では、手のぬくもりを感じるような特別なリネンに仕上がります。

さらに工場の奥に進み驚いたのが、糸をブレンドする機械があること。糸を直接買い付け、仕上げたい風合いに合わせ糸から自分でブレンドするのが職人さんのこだわり。ものづくりへの愛情が感じられる機織りを前に、「ここには織物の神様がいるね」とデザイナーの北村。ニコニコと糸に触れる職人さんの顔を見ていると本当にそんな気がしてきます。

お邪魔した時に機械にかかっていたのは、輝くように白いアイリッシュリネンの糸。最高級リネンとして知られるアイリッシュリネンは、糸を作る工場が閉鎖してしまったことで今では目にするのも珍しい貴重なものだとか。

50年ほど前に製作されたヴィンテージの生地が数多くストックされている倉庫にも案内していただきました。普段入ることができない倉庫なんだとか。創作意欲を刺激される生地ばかりでデザイナーと大興奮!!

こんな丁寧な仕事はいまやろうと思っても難しいという職人さん。さらに生地選びは盛り上がり、とっておきの宝物があると見せてくれたのが手紡ぎのリネン糸。昭和27年頃に作られた貴重なもの。ワガママを言って3個も頂きました。

いただいた手紡ぎ糸は京都店に飾っています

すっかりあたりは真っ暗に……7時間もいたよう。

職人さんのものづくりを守る強い心。こんなにも愛情を込めて作られた生地達は幸せそうに笑っています。

NADELLでは2016年の春夏に向け、眠っていた布、職人さんの精神がこもったた布がどんな形で生まれ変わるのか………いまから期待でいっぱいです! どうぞみなさんもお楽しみに。

hikita